見守りセンサーの種類と選び方 ― 介護施設・在宅の違いと「気づける」通知の考え方
公開日:2026年10月7日
見守りセンサーは、「何に気づきたいか」で種類を選び、「誰がどうやって気づくか」で通知方法を選ぶのが基本です。センサーの性能だけでなく、知らせを受けた人が確実に気づける仕組みまでそろって、はじめて見守りとして役に立ちます。
この記事では、主な見守りセンサーの種類と向き不向き、介護施設と在宅(高齢者の一人暮らし)での選び方、導入前に確認したいポイントを順に整理します。
見守りセンサーの主な種類と向き不向き
見守りセンサーと一口に言っても、検知する対象はさまざまです。代表的な種類を、何に気づけるかという観点で整理すると次のようになります。
| 種類 | 主に気づけること | 向いている場面 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| ドア開閉センサー | 出入口や玄関の開け閉め | 外への抜け出し・ひとり歩きの把握 | 日中の通常の出入りでも反応するため、時間帯などの条件設定が必要 |
| 人感センサー | 人の動き・在室の有無 | 廊下や居室での動きの把握、生活リズムの確認 | 誰が動いたかまでは区別しにくい。設置の向きで反応範囲が変わる |
| マットセンサー | 床に置いたマットを踏んだこと | ベッド脇や出入口の手前での動きの把握 | つまずきの原因にならない置き方や、介助者が踏んだときの扱いを決めておく |
| ベッドセンサー | 起き上がり・離床・在床 | 夜間の離床や転倒リスクへの備え | ベッドごとに機器が必要になりやすく、台数が増えると費用もかさむ |
| カメラ型・画像型 | 映像やシルエットでの状況 | その場の様子を目で確認したい場面 | 撮影されることへの抵抗、プライバシーへの配慮、映像の扱いのルールが必要 |
ドア開閉センサー
扉に取り付け、開いたか閉じたかを検知するもっとも基本的なセンサーです。仕組みが単純で誤作動の原因が少なく、出入口を通ったことをはっきり知りたい場合に向いています。一方で、出入りの多い時間帯にはそのたびに反応するため、「夜間だけ」「一定時間以上開いたときだけ」といった条件を組み合わせられるかが使い勝手を左右します。
人感センサー
人の動きを検知するセンサーで、廊下や居室に置いて動きの有無を知るのに使われます。「いつもと違う時間に動いている」「しばらく動きがない」といった生活の変化に気づく目的にも使えます。ただし、誰が動いたのかまでは判別しにくいため、複数人がいる場所では他のセンサーと組み合わせて判断するのが一般的です。
マットセンサー・ベッドセンサー
マットセンサーはベッド脇や出入口の手前などに敷き、踏んだときに反応します。ベッドセンサーはベッドに設置して起き上がりや離床を検知するもので、夜間の転倒が心配な方の見守りによく使われます。どちらも「部屋から出る前」の段階で気づけるのが利点ですが、ベッド単位で機器が必要になるため、対象者が多いと導入や管理の負担が大きくなります。
カメラ型・画像型
映像やシルエットで状況を確認できるため、通知を受けたあとにその場の様子を把握しやすいのが強みです。その反面、居室や自宅を撮影されることに抵抗を感じる方は少なくありません。導入する場合は、ご本人やご家族の同意、映像を誰がどこまで見られるか、保存期間などのルールをあらかじめ決めておく必要があります。
このほか、本人が押して知らせる緊急通報ボタンや、家電の使用状況から安否を確認する方法もあります。ただし、ボタン型は本人が操作できない状況では使えず、安否確認型は定期的な確認が中心のため、「今まさに起きている異変」に気づく目的とは役割が異なります。
介護施設での見守りセンサーの選び方
介護施設では、限られた人数の職員で多くの入居者を見守る夜間帯が特に課題になります。施設での選び方は、次の順で考えると整理しやすくなります。
1. 防ぎたい事故を一つに絞る
「出入口からの抜け出し・離設」「居室内での転倒」など、まず優先して防ぎたいことを決めます。抜け出しが課題なら出入口のドア開閉センサー、転倒が課題ならベッドやマットのセンサーが中心になります。すべてを一度にそろえようとすると費用も運用も重くなりがちです。
2. 課金の単位を確認する
ベッドごと・台数ごとに費用がかかるのか、施設ごとの定額なのかで、入居者数に対する総額が大きく変わります。出入口の見守りのように「施設の構造」に対して設置するものは、入居者数に左右されにくい点も考慮します。
3. 夜勤体制で「誰が受けるか」を決める
通知をナースコールで受けるのか、職員の携帯電話で受けるのか、詰所の画面で受けるのかで、現場の動き方が変わります。巡回中や介助中でも気づける受け方になっているかを、実際の夜勤の動きに当てはめて確認しておきましょう。
在宅(高齢者の一人暮らし)での選び方
離れて暮らす親の見守りでは、施設とは別の視点が必要です。
- 本人が操作しなくても動くか:ボタンを押す、アプリを開くといった操作を前提にすると、いざという時に使えないことがあります。認知症によるひとり歩きのように、本人が助けを呼べない場面を想定するなら、自動で検知する仕組みが向いています。
- 通信環境に頼りすぎないか:実家にネット回線がない、Wi-Fiの設定を本人に任せられない、というケースは珍しくありません。通信機能を内蔵した製品なら、回線工事や設定の手間を避けられます。
- プライバシーへの抵抗が小さいか:自宅をカメラで撮られることに抵抗を感じる方は多いものです。ドアや人の動きを検知するセンサーなら、映像を残さずに見守れます。
- 知らせを受ける家族が無理なく続けられるか:仕事中や夜間に通知を受ける家族の負担も考え、通知の頻度や受け方を調整できるかを確認します。
まずは玄関など、心配がいちばん大きい場所1か所から始め、様子を見ながら範囲を広げるのが現実的です。
見落とされがちな「通知に気づけない」問題
見守りセンサーを導入しても、通知に気づけなければ事故は防げません。実際には、次のような理由で通知が見落とされることがあります。
- 介助や巡回の最中で手が離せず、画面やアラーム音を確認できない
- 周囲が騒がしい、または別の部屋にいて音が届かない
- スマホのアプリ通知が他の通知に埋もれる、マナーモードで気づかない
- 誤報が続いて「また鳴っている」と慣れてしまう
対策として考えたいのは、気づきやすい手段で知らせることと、誰かが対応するまで知らせ続けることです。たとえば電話の着信は、アプリ通知よりも気づきやすい手段の一つです。さらに、一人目が出なければ次の人へ順番に知らせる仕組みがあれば、「誰も気づかなかった」という状態を減らせます。あわせて、時間帯や開放時間などの条件で誤報を抑え、通知そのものへの信頼を保つことも欠かせません。
見落とされやすいもう一つの点が、機器が止まっていることに気づけないことです。電池切れや通信の途絶が起きても、通知が来ないだけでは「異常なし」と区別がつきません。機器の状態を監視して知らせる機能があるかも確認しておきましょう。
導入前のチェックリスト
見守りセンサーを比較・検討する際は、次の項目を確認しておくと導入後のずれを防げます。
- 何に気づきたいか(抜け出し、離床、生活の変化など)を一つに絞れているか
- 設置する場所と数(出入口、居室、玄関など)が決まっているか
- 通知を受ける人と順番、夜間や不在時の代わりの人が決まっているか
- 通知は、手が離せないときや外出中でも気づける手段か
- 時間帯や継続時間などで、誤報を抑える設定ができるか
- 電池切れ・通信断など、機器が止まったときに知らせてくれるか
- ネット回線や設定作業が必要か、設置にどの程度の工事が要るか
- カメラを使うか。使う場合、本人・家族の同意と映像の扱いが決まっているか
- 初期費用と月額費用、課金の単位(ベッドごと・施設ごとなど)、通話料などの追加費用の有無
- 通知と対応の記録が残り、あとから振り返れるか
- 介護保険や補助金の対象になるかを、自治体やケアマネジャーに確認したか
この記事は見守りセンサー選びの一般的な情報をまとめたものです。ご本人の心身の状態に応じた見守り方法や、介護保険・補助金の利用可否など個別の判断は、ケアマネジャーや医療・介護の専門職、お住まいの自治体にご相談ください。見守りセンサーは見守りを補助する道具であり、事故を完全に防げるものではありません。
よくある質問
- 見守りセンサーは、まずどの種類から選べばよいですか?
- 「何に気づきたいか」から決めるのが近道です。外に出てしまうことが心配なら出入口のドア開閉センサー、ベッドからの起き上がりや離床が心配ならマットやベッドのセンサー、生活の様子をゆるやかに知りたいなら人感センサーが候補になります。最初は心配がいちばん大きい場所1か所から始め、運用に慣れてから追加すると無理がありません。
- カメラを使わなくても見守りはできますか?
- できます。ドアの開閉や人の動き、ベッドやマットへの荷重などを検知するセンサーは映像を撮らないため、ご本人のプライバシーへの抵抗が小さいのが利点です。一方で、その場の様子を映像で確認することはできないため、通知を受けたあとの確認方法(電話をかける、駆けつけるなど)を決めておくことが大切です。
- 一人暮らしの親の家にネット回線がなくても見守りセンサーは使えますか?
- 製品によります。家庭のWi-Fiを前提にした製品もあれば、通信用のSIMを内蔵してモバイル回線で動く製品もあります。回線がない場合や、ルーターの設定を本人に任せられない場合は、通信機能を内蔵したタイプを選ぶと導入しやすくなります。
- 見守りセンサーに介護保険や補助金は使えますか?
- 使える場合がありますが、対象となる機器や条件、金額は制度や自治体、年度によって異なります。在宅なら要介護認定の有無や福祉用具としての扱い、施設なら都道府県などの導入支援の公募内容によって変わるため、お住まいの市区町村や施設所在地の自治体、ケアマネジャーに最新の情報を確認してください。
- 誤報(鳴りすぎ)を減らすにはどうすればよいですか?
- 通知する時間帯を夜間などに絞る、ドアが一定時間以上開いたときだけ知らせる、一度知らせたら一定時間は再通知しない、といった条件を設定できる製品を選ぶと効果的です。導入後もしばらくは通知の記録を見ながら条件を調整し、現場やご家族が「また鳴っている」と慣れてしまわない状態を保つことが大切です。
見守りセンサー連動の自動架電
「気づけない」を減らす見守りシステム、コトノック
コトノックは、見守りセンサーが反応したら登録した連絡先へ自動で電話をかけ、応答があるまで順番に鳴らし続ける見守りシステムです。介護施設の抜け出し・離設の見守りにも、高齢者の一人暮らしなど在宅の見守りにも使えます。
- ドア開閉の接点センサーや人感センサー(いずれも有線)と連動。マットセンサーなども後から追加できます
- 電話の音声で「いつ・どこで」をお知らせ。詳細はSMS/LINEでも確認でき、受け手に専用アプリは不要です
- 夜間限定・開放継続時間・再発報の抑制で誤報を抑え、電池切れや通信断も管理者へ通知します
- カメラは使いません。通信用SIMを内蔵し、設定を済ませた状態で届くため、ネット環境がなくても導入できます